手づくりひろば - vol.4
皮革のはなし
「皮革」は人類の歴史と共に古くから生活に密着した素材として使われてきました。 革工芸を始めるにあたって、革の種類と性質を知ることは大切なことです。 その鞣し方や仕上げ方によって、用途が異なりますので、作るものに合った革を選ぶようにしましょう。
1. 皮と革
もともと皮は動物の体を包み、保護していたものです。皮という字は、動物の皮を手で剥ぎ取る形が由来になっているそうです。剥離された生の皮はすぐに腐り、乾燥すると硬くなります。腐らないようにして柔らかく加工することを「なめす」といい、漢字では「革」と「柔」を合わせて「鞣す」と書きます。
鞣していないものを「皮」、特に小動物のものは「スキン」、牛などのものは「ハイド」といい、脱毛後に鞣された皮を「革」「レザー」といいます。ちなみに「革」の字は、動物の皮を開いて鞣す様子の形が源です。毛付きのままで鞣したものを「ファー」といいます。
2. 鞣し革の種類
鞣す方法によって、革の性質も異なってきます。代表的なものを紹介します。
- ●タンニン鞣し革:
- 植物タンニンを主としてなめされた、薄い茶褐色の革。クローム鞣し革より伸びと弾性が小さい。堅牢で吸水性、可塑性があるので湿らせると型が付けやすく、立体加エしやすい。手縫い、スタンピング、カービング、染色などに適切な素材。
- ●クローム鞣し革:
- クローム塩(3価クロム)を鞣し剤とした革。市販されているものは着色仕上げがしてあり、柔軟で軽く、耐熱性が高い。袋物、衣料、靴などに広く使用されている。
- ●コンビ鞣し革:
- 用途に応じて、2種類以上の鞣し剤を使用して鞣した革。例えば植物タンニンで鞣した後、合成タンニン剤で白っぽくしたもの。
3. 部位と名称
- ●バット:
- ショルダー、ベリーを除いた主要部分をいう。繊維が密で丈夫であり、質もよい。
- ●ベンズ:
- バットを背で二分割したもの
- ●ショルダー:
- 繊維が太く、密度が粗い。
- ●ベリー:
- 繊維が細く、柔らかく、伸びやすい。
牛などの大きな動物は、背中で左右にカットしてサイド(半裁)として鞣されて売られます。豚、羊、山羊などは、一枚のままで売られています。
革は面積で取引され、単位はDS(デシと読みます。Square Decimeterのこと)です。1DSは10×10cmとなります。また、表側を銀面と呼び、裏を床面と呼びます。
4. 革の特性
同じ動物の革でも性別、年齢、生活環境で性質が異なり、鞣し方、仕上げ方によっても異なりますが、共通な特性には次のようなものがあります。
長所として、
- ●吸放湿性に優れている
- ●気温による変化が少ない
- ●保温性がある
- ●適度な弾性と塑性を持つので、いろいろな形状に加工できる
- ●切り口が裂けず、ほころびない
- ●丈夫で耐久性に優れる
- ●染め付きがよい
反面、弱点もあります。
- ●一枚ごとに均一でなく、傷などがある
- ●湿気を吸うと伸び、乾燥すると縮む
- ●カビやすい
……などです。
5. 革の繊維方向
革にも繊維があります。図の矢印方向に強く(伸びづらい)、その直角方向には弱い(伸びやすい)ことを覚えておきましょう。